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ポンプを支える軸受けとは?構造やトラブル対策についても解説

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2023年01月31日

私たちの日常生活を支える給水管に、今やポンプの存在は欠かせません。
しかし、身近な存在でありながらも、ポンプの構造についてはあまり知らない方もいるでしょう。

ポンプが水を効率的に循環させるためには、軸受けや軸封などの要素部品がとても重要な役割を果たしています。
今回は、ポンプの軸受け・軸封などの要素部品や、ポンプのトラブル時の対策について解説します。

給水ポンプの仕組みについて詳しく知りたい方は、ぜひご覧ください。

ポンプを支える軸受けとは?構造やトラブル対策についても解説

ポンプの軸受けとは何か?

ポンプの軸受けは、ターボ式ポンプや回転式ポンプで回転体を支える重要な部品です。
それぞれのポンプの種類によって、回転する仕組みに違いが見られます。
軸受けをうまく稼働させるには、適切に潤滑が大切です。

どのポンプであっても、軸受けは高寿命と回転速度の速さなどが求められます。
ポンプの働きを保つためには、定期的なメンテナンスも欠かせません。
軸受けなどの要素部品に関しても、不具合がないか日常的なチェックが必要です。

軸受け回転に関わる用語

ポンプの軸受けについて知るには、以下の用語を理解するのが必須です。

● ラジアル軸受けとスラスト軸受け
● 転がり軸受けと滑り軸受け

それぞれに違った働きを持っているので、区別をしていく必要があります。
こちらの章で、特徴を解説していきます。

ラジアル軸受けとスラスト軸受け

ポンプの回転体には、軸に対して直角方向に作用するラジアル荷重と、軸方向に作用する軸スラストが作用します。
両者の相互的な作用によって、ポンプは正常に稼働して、給水や水の循環などの働きをします。

ラジアル荷重を受けるラジアル軸受けと、軸スラストを受けるスラスト軸受けは、ポンプには欠かせない部品です。
ラジアル軸受けにはゴム樹脂やセラミックス、スラスト軸受けにはスラストカラーやスラスト玉などの材質が使用されています。

転がり軸受けと滑り軸受け

ターボポンプ向けの軸受けには、転がり軸受けと滑り軸受けの2種類があります。
転がり軸受けは、ボールの転がりによる接触を利用しながらポンプの回転を助ける仕組みです。
滑り軸受けは、潤滑油脂や潤滑剤を利用して回転させます。

コストパフォーマンスや保守点検の面を考慮すると、滑り軸受けよりも転がり軸受けがいいとされています。
それぞれのポンプの性能や役割によって、どちらの軸受けになるか変わるので、両者の特徴について把握しておきましょう。

軸受けと共にポンプを支える軸封の方式とは?

軸封も、軸受けと同じくポンプを支える大切な要素部品です。
主に、以下の2種類があります。

1. グランドパッキン
2. メカニカルシール

軸封は、ポンプ内部の水漏れ防止には欠かせない装置です。
それぞれの方式について解説していきます。

1.グランドパッキン

グランドパッキンは、繊維を編み込んだものをリング状に形成し、「パッキン押え」と呼ばれる部品を締め込む仕組みになっています。
主な特徴は、回転軸の軸スリーブを密着させて、水漏れを防止する作用がある点です。

完全に水漏れをさせるのではなく適度な締め具合で、若干、水を漏洩させながら使用し摩擦加減を調整する仕組みになっています。
グランドパッキンの機能を適切に維持するためには、ポンプ管理を担う方の技術力と専門知識も大切です。

2.メカニカルシール

メカニカルシールは、軸と回転する回転環と固定環の両者によって、密封性を高めてポンプの水漏れを最小限に抑えるのが特徴です。
2つの環同士が摺れる部分の具合をよく見ながら、適切に潤滑冷却をする必要があります。

メカニカルシールをうまく機能させるためには、専用のフラッシング液が必要です。
フラッシング液を2つの環の隙間に入れながら、摺れる部分の様子をよく見て潤滑冷却をしてきます。

メカニカルシールの軸封は、フラッシング液の適切な使用が何より大事です。

特殊なタイプのシールレスポンプもある

シールレスポンプは、軸受けに特別な材質を使用しています。
一般的なポンプとは異なり、軸封部品を不要としている特殊な構造のポンプです。
ケミカルポンプとも呼ばれており、シンプルな構造ながらも液漏れがしにくい仕組みになっています。

主なシールレスポンプの種類には、キャンドモータポンプやマグネットポンプなどがあります。
特殊な薬剤や化学液など、絶対に外に漏らしてはいけない液体が入ったポンプに使用されているのが特徴です。

ポンプの不具合があれば早めの対応を!

ポンプに少しでも不具合が見られたら、配管工事を得意とする設備業者へ早めに連絡しましょう。
経年劣化や破損による不具合ならば、新品のポンプに交換して給水管トラブルの再発を防ぐのが大切です。

不具合をそのままにしておくと、ポンプ本体の故障はもちろん、漏電や水漏れトラブルの原因となってしまいます。
業者の点検以外でも、日常的にポンプの状態をチェックして、内部の異音や動作不良がないか管理をしていきましょう。

まとめ

ポンプは、どのようなタイプであってもさまざまな部品が密接に関わって正常に機能しています。
軸受けや軸封などの要素部品は、ポンプ全体の中でも特に消耗しやすい部品なので、細かいチェックをしながら管理する必要があります。

ポンプは私たちの生活を支えているので、軸受けの適度な温度調整や潤滑油の補充など、日常的な設備点検が非常に大切です。
ポンプの要素部品の働きを理解して、日々のポンプの点検に役立てていきましょう。