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ポンプ直送方式の導入で確認すべきポイントを徹底解説

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2022年11月26日

ポンプ直送方式とは給水方式の一種であり、配水管の圧力やポンプを利用して水道水を直接水道へ届ける仕組みです。
大規模マンションなど集合住宅では、給水方法をポンプ直送方式・高置水槽方式の2つから選ぶことができます。

この記事では、ポンプ直送方式の種類や高置水槽方式との違いやそれぞれのメリット・デメリットを解説します。

ポンプ直送方式の導入で確認すべきポイントを徹底解説

直結増圧方式と比較した場合の大きな違い

はじめに、ポンプ直送方式と直結増圧方式、それぞれの特徴とメリット・デメリットを解説します。
ポンプ直送式方式と直結増圧方式の違いは、以下の通りです。

給水方式 ポンプ直送方式 直結増圧方式
受水槽 必要 不要
水圧のむら 起こりにくい 起こりにくい
増圧ポンプの必要性 不要 必要

ポンプ直圧方式も直結増圧方式も、高置水槽を設置しないところは共通しています。
しかし、ポンプ直送方式は地上に受水槽が必要です。
それでも、高置水槽よりは管理が楽で水質汚染なども抑えられます。

一方、直結増圧方式は地上の受水槽も必要なく、設置費用が削減できスペースも節約できます。
現在は、新築マンションの多くがポンプ式直送方式か直結増圧方式のどちらかを採用しています。

ポンプ直送方式は水圧が肝心

ポンプ直送式方式は、配水管から供給された水を貯水槽に溜め、そこから加圧ポンプを利用して各階に給水する方式です。
給水量の変化は圧力検知器で検知し、加圧ポンプの力を調節します。
そのため、水圧に変化が起こりにくく上階でも勢いよく水が出ます。

常時水道管から受水槽に水が供給されているので、大規模な受水槽は必要ありません。
また、給水引込管のサイズを大きくしなくていいので、水道の基本料金を高くせずにすみます。

その一方で、加圧ポンプが壊れれば給水ができなくなります。
また、停電時は受水槽に残っている分しか給水ができなくなることがデメリットです。
高置水槽よりも手間はかかりませんが、定期的な受水槽のチェックや清掃も必要です。

直結増圧方式はタンクレス・水圧は影響しない

直結増圧式とは、受水槽を設けずに増圧給水設備(ポンプ)を用いて水道管から直接各戸へ給水する方法です。
受水槽が必要ないので、スペースを取らず水質も劣化しません。

また、受水槽を管理する手間も省けます。
その一方で、建物の戸数や階数によっては増圧ポンプの設置が必要です。

このほか、水を一度に多量に使う施設が複数ある高層階の建物は、給水本管の水量や水圧に影響を与えるため、直結増圧方式は使えません。
停電すると給水ができなくなるのもデメリットです。

ポンプ直送方式のメリットとデメリット|導入前に確認しておきたいポイント

現在、ポンプ直送方式はマンションやアパートなど集合住宅での給水方法の主流です。
しかし、ポンプ直送方式にはメリット・デメリットがあります。

ここでは、ポンプ直送方式のメリット・デメリットを解説します。
集合住宅の状態や建っている環境などでメリットが際立つこともあれば、デメリットが目立つこともあるでしょう。

よく検討することが大切なので、大規模修繕などで給水方法の変更を考えている方は参考にしてください。

ポンプ直送方式のメリット|水道管の影響を受けづらい

ポンプ直送方式の一番大きなメリットは、水道管の影響を受けづらいことです。
直結増圧方式の場合、水道管が細いとどうしても水圧が弱くなります。
したがって水道管の直径を太くする必要も出てくるため、水道の基本料金が上がることもあるでしょう。

一方、ポンプ直送方式は、受水槽を設けて一旦そこに水を溜めるので水道管の影響があまりありません。
細い水道管でも十分に対応できるでしょう。

また、災害時に停電が起きても受水槽分は水を供給し続けられます。
このほか、高置水槽を設置しないので水質汚染が発生するリスクも下げられます。

ポンプ直送方式のデメリット|ポンプや受水槽があるため設備費が高い

ポンプ直送方式のデメリットとしては、まず受水槽整備の手間がかかることがあげられます。

受水槽は、水を溜めておく場所なので密閉していたとしてもカビや藻が発生する恐れがあります。
したがって、定期的なチェックや清掃が必須であり、その分費用がかかるでしょう。

また、受水槽のサイズはいろいろあり、大きな受水槽ほど一度にたくさん水を使う状況でも対応できます。
停電が起きて水道管から給水ができなくなっても受水槽が大きければ長時間建物に水を給水することもできるでしょう。

ただし、受水槽が大きいほど管理に手間がかかり、設置の費用もかかります。
したがって、戸数が多く階層が低い集合住宅は直結増圧方式のほうが設置費用や管理の手間がかからず、メリットが大きいこともあるでしょう。

どちらにしようか迷っている場合は、両方の方式で見積もりを出してもらうと判断がつけやすくおすすめです。

まとめ

今回は、ポンプ直送方式の特徴やメリット・デメリットを紹介しました。
平成初期くらいまで、集合住宅の水道は戸建ての水道より水質が劣っていることが珍しくありませんでした。

しかし、ポンプ直送方式ならば高置水槽を設置するより費用をかけず、良質の水を給水することができます。

高置水槽方式から大規模修繕で給水方法を変えたい場合は、ポンプ直送方式か直結増圧方式かどちらかメリットが大きいほうを選ぶのがおすすめです。