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井戸ポンプってなに?その仕組みは?井戸ポンプの仕組み解説

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2023年04月10日

皆さんは近年、井戸について見直されていることをご存じでしょうか?
「東京都防災ホームページ」では、災害による帰宅困難者を受け入れる施設の付加設備として「防災井戸」が挙げられ、設置費用などに補助金が出る場合があると記載されています。

そこで今回は、井戸の概要と井戸に使用されるポンプの仕組みを見ていきましょう。

井戸ポンプってなに?その仕組みは?井戸ポンプの仕組み解説

井戸とは?

まず、井戸の定義から確認していきましょう。
広辞苑によると、井戸とは「地面を深く掘り、あるいは管を地中に打ち込んで地下水を汲み上げるようにしたもの」とされています。

一般的な井戸は、地面に深く空いた穴に地下水が貯められており、滑車を通した紐とその先に付いた桶で水を汲み上げるようなイメージがあり、あまり生活に直結して考えることが難しいかもしれません。

しかし、水源としての地下水は現在でも重要で、自治体によっては地下水のみを水道源としている地域があることも事実です。

また、井戸は水脈の深さによって区別されており、比較的浅い位置にある自由地下水を汲み上げるものを「浅井戸」、地下水を自由地下水道より深い位置にある不透水層(水を通しづらい地層)のさらに下から汲み上げているものを「深井戸」と呼びます。
そこで、今回はそれぞれに使用されるポンプの仕組みについて確認していきましょう。

井戸ポンプの種類は?

前述で述べた通り、井戸ポンプには井戸の種類によって「浅井戸ポンプ」と「深井戸ポンプ」に分けられています。
一般的に「浅井戸ポンプ」は、深さ10mから30m程度にある自由地下水を汲み上げるため、揚程が低いポンプを用います。
それに対して「深井戸ポンプ」では、不透水層より下の地下水を汲み上げるため、「浅井戸ポンプ」よりも揚程が高いポンプを必要とします。

そのため、この井戸では後述する手動ポンプでは、揚程が不足するためジェットポンプを使用します。
ちなみに、揚程とはポンプが水を汲み上げられる高さのことを言います。

井戸ポンプの仕組みは?

手動ポンプ

手動ポンプは「浅井戸ポンプ」で使用されることが一般的です。
その仕組みは、大気圧を利用し給水管を真空状態にすることで液体を汲み上げる仕組みです。
この原理は、私たちがストローを使ってコップから飲み物を飲む原理と同じになります。

ではまず、あなたがストローで何かを飲んでいる姿を想像してみてください。
あなたが、ストローで飲み物を吸い込むと、ストロー内部の空間(口と液面の間)の圧力が無くなります。
そして、ストロー内部の圧力はコップの水面に掛かる大気圧よりも弱くなります。(ストロー内部の圧力が無いため)

すると、ストロー内の水面が大気圧によって押し上げられ、あなたは飲み物を飲むことが出来ます。
実際の手動ポンプでは、人がストローを吸うように、配管内の仕切り面を引き上げ、配管内部の圧力を無くし、井戸の水面に掛かる大気圧の力を借りて地下水を引き上げています。

ジェットポンプ

ジェットポンプは「深井戸ポンプ」に多く採用されているほか、「浅井戸ポンプ」として手動ポンプと併設している場合があります。(「防災井戸」がこれに当たります)
その仕組みは、吸込用と圧送用の2つの配管が設置されており、それらは2つ並べて地中に差し込まれています。

2つの配管は地中で繋がっており、圧送用配管内の液体が吸込用配管入口にあるノズルを通りジェット流に変化し、吸込用配管内で上向き(地表向き)に噴射されます。
すると、吸込用配管の底にある地下水がそのジェット流の力につられて地表へと持ち上げられる仕組みになっています。

この仕組み内部の流体は、ポンプ~圧送用配管~ジェット噴射~吸込用配管~ポンプの順序で流れていき、地下水をジェット流の力で徐々に地上へと押し上げていくイメージです。

それぞれどんな利点がある?

では、手動ポンプとジェットポンプにはそれぞれどのようなメリットとデメリットがあるでしょうか?
ここでは、それぞれのメリットとデメリットを紹介していきます。

手動ポンプ

まず、手動ポンプのメリットとして一番に挙げられる点は、その構造上、液体の汲み上げるために電力を必要とせず、停電時にも利用可能な点が挙げられます。
また、このポンプはモーターなどの電装品を使用しないので、配管付帯品の経年劣化や腐食を除けば長期間利用可能な点も利点の一つに挙げられます。

一方、デメリットはどのようなものでしょうか?
それは、液体を汲み上げるために労力と時間を必要とする点です。
近年の手動ポンプは、子どもや老人にも比較的容易に使えるように改良されていますが、ジェットポンプのような電動式のポンプと比べると労力や時間の面で大きく劣ることは否めません。

その他にも、液体の吸い上げに大気圧を利用しているため、その能力に限界があり「深井戸」のような水面が深い場面では使うことが難しくなります。

ジェットポンプ

ジェットポンプのメリットは、井戸の深さによらず「浅井戸」・「深井戸」両方に使用できる汎用性の高さです。
また、手動ポンプとは違い電動式のため、スイッチ一つで液体の吸い上げ動作が可能です。
そのため、手動ポンプと比較すると労力や時間の面で優位性が大きく、使い勝手も良いことが特徴です。

一方、このポンプのデメリットは、モーターや圧力スイッチ・圧力センサなどの電装品を使用している場合が多く、それら電装品を定期的に交換する必要があります。
また、動力にモーターを使用しているため、手動ポンプに比べポンプ動作時の騒音が大きかったり、停電時には使用出来なくなったりするという点が大きなデメリットと言えます。

まとめ

今回は、井戸の種類やそこに使用されているポンプの仕組みを解説しました。
日常生活ではあまり考えない井戸ですが、現代社会においても重要な役割を担っていることがわかります。
そんな井戸ポンプを街で見かけたらこの記事を思い出していただければ幸いです。